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2013年6月25日火曜日

マイナンバー制〜今日は健康診断の日ですぅ〜




「おはようございます」
 「清水さん……いや、麗蘭ちゃん。ちょっと遅いですよ」
 「うふふ、すみません」

 その名前で呼ぶな。恥ずかしい。

「えーと、今日は国民健康診断ですね。あちらの列にお並び下さい」

 私は顔から火が出そうなくらい、きっと赤くなっている。そう思ってそそくさと受付の席をたった。どうせ、何をやるかは一週間以上前から決まっている。そのくらいから私のマイポータルにうざいほど通知が来た。
 あの受付の脂ぎったおじさんが本当に必要なのかはなはだ疑問を感じる。毎年文句を言われて……遅いって言っても、5分10分の話でしょうが!きっと、良くテレビで放送されている天下りってやつだよきっと。ああ、いやだねぇ。

「はい、そちらの方。番号を提示してください」

 私は、言われるがままにカードを提示した。今度は綺麗なお姉さんだったからだ。どうしたらこんなに肌を綺麗に保てるのだろう。

「清水麗蘭さんですね。まだ10代なのであちらの窓口から呼ばれますので、近くでお待ち下さい」

  12桁の羅列された番号。それを役所の人が確認すると物の数分で私の情報を引っぱり出してくる。生まれたときから変わらない。だから本当はカードをわざわざ出さなくても覚えている。
 たまに、このカードを無くしたらどこの誰だか知らない人に私の全てを知られてしまうんだと想像たらすごく鳥肌が立った。きっとそんな声が多くなると、「体に埋め込もう」なんて案がお偉いさんの中で出てくるんだろうな。
 そんな未来を想像しながら私は待合室にあった粉末茶で喉を潤す。