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2016年11月1日火曜日

生まれました その②〜破水、出産〜






生まれました その①〜前駆陣痛、陣痛〜 の続きです。


「まだ生まれないけど内診とかこの部屋で行えない処置をすぐ出来る様に、分娩室に移動して下さい」

一瞬もう生まれるのかと思って期待したが"まだ"の言葉に再度絶望的になる。
陣痛の痛みはもはや今まで経験した事の無いものに達していた。

右股の付け根に石灰が出来たときも人生で初めて経験する激痛だったので、この痛みとどっちが勝るのか比べてみようとのんきな事を思っていた。
何と言うか、痛みのジャンルが違う。

担当のお医者さんが膣に指を突っ込みぐりぐりと内診をする。

「子宮口7センチ……いや、全開ですね」

その言葉に場がざわつく。

「旦那さん間に合うかしら。ここで電話して良いから急ぐ様に伝えて」

私は携帯電話を取り旦那に電話をする。

「は、早く……」
「分かった」
「でも、気をつけてね」
「おう」

決死の思いで短いやり取りを終えると一気に便意が襲って来た。

「う、うんこでるーーーー…………」
「それがいきむ感覚ですー」

はずかしげも無く言った言葉に冷静に返すお医者さん。
女医さんで本当に良かった。
そう、生まれる感覚とはまさに便意。

「陣痛来た時にもういきんでいいですよー」

その助産師さんの言葉を聞いてよしきたと言わんばかりに私はいきみ始める。

「もう生まれるね……旦那さん間に合うかしら。もうすぐ着くって?」

私は言葉を出せず首を横に振った。
正直もう立会いは諦めていた。
タクシーで来てと伝えていたのに道路が混むかもという理由で電車を使った旦那。
その時点であと20分位はかかる。
多分もう無理と私は確信した。
だって、容赦なく陣痛の波がやって来ていきまないと苦しいから……

何回目のいきみだったか分からないが、突然ぷちっと音が鳴り勢い良く股から何かが弾けとんだ。
”何か”が助産師さんの顔にかかり、その奥2、3メートル先にあるブラインドと窓へ飛んでいった。

また部屋がざわついた。
助産師さんとお医者さんの話からどうやら私は破水したらしく、羊水をぶちまけてしまったらしい。
仕事とは言え他人の羊水が顔にかかるなんて嫌だろうに…
本当ごめんなさいと思いつつ必死な私。

破水したらいよいよもうすぐ赤ちゃんとのご対面だ。
陣痛の波が来たら息を思い切り吸い込み、止め、両サイドにあるバーを思い切り引っ張り踏ん張る。
その繰り返しをしていると「間に合ったー」との声。

横目で見ると全身びしょ濡れの旦那が。
どうやら台風の雨風がすごく途中で傘が壊れたらしい。
助産師さんからタオルを貰ってふき、私のサポートに回った。

お願い通りペットボトル用の長めのストローを持って来てもらい陣痛の合間に飲み物を飲める様になった。
ありがたい……
入院セットに名がストロー必須の意味がよく分かった。
さらに、いきむときに上半身を少しあげるのだが枕と一緒に頭を上げるサポートもしてもらった。
これも結構ありがたい。

陣痛の波が来る度に息を思い切り吸い込み止め、踏ん張る。 もう思い残す事は無いあとは出すだけだと言わんばかりに。
しかし、中々出てこないベビちゃん。
何回目かのいきみの時、女医さんが医療用はさみを取り出し躊躇なくばっさり私のアソコを切っているのが見えた。
懸念していた会陰切開をされてしまった。
心の中で「あーっ…やっちゃったー…」と呟いたけど時すでに遅し。
お風呂の中で毎日やっていた会陰マッサージの成果なんてまるきり感じられなかった。
でも、聞いていた通り陣痛の痛みに負けて切った痛みはさほど無かった。
麻酔針で患部を鈍らせたからだろうか。正直麻酔打った時の方が痛かった。

いきみのタイミングと同時に赤ちゃんの出口を思い切り助産師さんと手でこじ開けられる。
中々出てこない我が子。
頭の途中までは出ているのにそこから先が進まない。
中途半端に出て私の息が続かないからまた中に戻される。
その繰り返しが続き私も早く終わらせたくてたまらず、いきみの強さをMaxにした。

「でてきたでてきた、いきみ止めてください」

ようやく頭が出たらしくそのままいきんでしまうと赤ちゃんの首が絞まっちゃうから力を抜く様指示が出た。
ずるずると股の間から何かが出て来るのが見えた。
旦那が思わず見に行き「男の子だ!」と性別をカンニングし、助産師さんに怒られていた。

「やっと終わった、やっと終わった……」

今までの妊娠期間を走馬灯の様に思い返し呟いた。
助産師さんが生まれたばかりの我が子を自分の胸に乗っけてくれた。
まず驚いたのが、爪がしっかりあるということ。
なぜそこなのかと今思えば突っ込みどころ満載なのだが一番びっくりしたのだ。

生まれたばかりの我が子を撫でながら「頑張ったねー」と声を掛ける。
しかし、ここからが本当の地獄だった。

息子は身長体重等の測定のため旦那とともにとなりの部屋へ連れて行かれ、私は会陰切開した傷の縫合が始まった。

ここから生々しい&痛い話なので苦手な方はお戻り下さい。











膣の入り口からお尻の穴にかけてカットされた箇所にまず麻酔針が刺さる。
そこから針を何回も何回もさされ、麻酔が効いているはずなのに全くその気配はなくさされる度に「痛い、痛い」と叫び続けました。
しかし、縫合師の方は「もうちょっと、これが最後です」と刺す度に言うのだけど全く終わる気配はなく結局40分間処置は続き終わった時に、私は放心状態でした。
さらに、おしっこが溜まっていて子宮収縮のためには出さなきゃならないのに出産後にトイレへ行くのは貧血で倒れる可能性があるからと出してもらうことに。
膀胱へ直接管を入れて尿を出すのですがそれがまた痛い。
絶対将来下の世話をされたくないと思いました。

お昼ご飯を食いっ逸れていたので旦那にケーキを買って来てもらい病院食と一緒に食べました。
旦那曰く、出血量が半端なかったらしい。
確かに体を動かせない位からだがくらくらしていて、病室に戻るのも車いすを使いました。
この産院は生んだ次の日から母子同室なので、その日はゆっくり休む事に。
私は早速友達や会社の同僚等に報告し、「おめでとう」という嬉しい言葉とともにベッドに横になりました。
しかし、会陰の痛みが強く中々寝付けなかった……

以上、2回にわたり綴った出産記録でした。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございます。(いや、ほんとまじで。

この後の病室で起きた事、育児の事等まだまだ書きたい事は沢山ありますがそれは追々まとめて書いていきたいと思います。





茶木